違憲の敵基地攻撃能力保有論議は直ちに中止を -安全保障政策に関する安倍首相談話に対する談話-

2020年9月15日
戦争する国づくりストップ!憲法を守り・いかす共同センター

 

違憲の敵基地攻撃能力保有論議は直ちに中止を
-安全保障政策に関する安倍首相談話に対する談話-

 

 安倍首相は、9月11日に出した安全保障政策に関する談話で、「敵基地攻撃能力」の保有を視野にいれたミサイル阻止能力の整備方針を明言し、年内に方向性を固めて年末に改定を予定する防衛計画大綱と中期防衛力整備計画への反映を求めた。
 「敵基地攻撃能力」の保有論議はこれまでもくり返し行われてきたが、戦力の不保持を宣言する憲法9条との関係で、「専守防衛」の枠内の論議に留め、「(もっぱら相手国国土の壊滅的な破壊のための)攻撃能力を保有することは、直ちに自衛のための必要最小限の範囲をこえることになるため、いかなる場合も許されません」(防衛省ホームページ)としてきた。
 今回の首相談話は、これまでの日本の安全保障政策や憲法9条の政府解釈などをないがしろにするものである。憲法を軽視し、積み上げられてきた憲法解釈を捻じ曲げる解釈改憲を繰り返してきた安倍首相が、辞意を表明した後に憲法破壊の行為を繰り返すことは到底許されることではない。

 

 敵基地攻撃は、国際法上も先制攻撃とみなされるものであり、国連憲章にも反している。仮に実施すれば攻撃を受けた相手国は、当然の権利として反撃をしてくることが容易に想定され、戦争状態に陥ることになる。
 また、先制攻撃可能な武器の保有そのものが、日本の安全保障政策の180度転換であり、近隣諸国をいたずらに刺激し、際限のない軍拡競争を引き起こすものである。既に、現行の防衛計画の大綱や中期防衛計画で、ヘリコプター搭載駆逐艦の空母への改造や、その空母に搭載可能な戦闘爆撃機・F35Bの大量購入、長距離ミサイル購入などの大軍拡が進められ、2020年度予算では5兆3000億円もの軍事費が計上されている。敵基地攻撃のための武器等の保有はそれらを上回る際限のない軍拡に道を開くものでもある。

 

 辞意を表明した首相が談話で、後継内閣の安保政策を縛ることも憲法に反する行為にほかならない。
 私たちは安倍内閣の8年弱、執拗に狙われた憲法9条改憲を市民の運動と世論で押し返してきた。この到達点に確信を持ち、安倍後継内閣のもとでも、戦争する国づくりと9条改憲を阻止するたたかいをさらに強める。同時に、違憲の敵基地攻撃能力の保有に強く反対し、大軍拡への道に進ませないためのたたかいを強めるものである。

以 上

 

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