アベ・スガ改憲の「最初の一歩」にさせてはならない(談話)
- 国民投票法改定法の成立にあたって –
6月11日の参議院本会議で、改憲手続きのための国民投票法改定法が、自民、公明、維新などの賛成多数で成立しました。憲法共同センターは、戦争する国づくりにむけた改憲策動を加速させる目的の国民投票法改定法案に反対し、総がかり行動実行員会と共闘した取り組みを行ってきました。今回の採決・成立には強く抗議します。
国民投票法の改定も受け、政府・自民党の幹部などから、憲法9条への自衛隊の明記や、有事や重大な災害の際に内閣に法律と同じ効力の政令等の制定を認める緊急事態条項の新設など、「自民党改憲4項目(アベ・スガ改憲)」での改憲議論の加速を求める声が強まっています。
この動きをストップさせるためにも、「改憲発議反対緊急署名」を軸とする改憲反対の取り組みを再び強め、きたる総選挙で改憲派を少数に追いこむことが重要です。新型コロナウィルスの感染拡大は、緊急事態条項を創設する改憲論議の「絶好の契機だ」、との加藤官房長官の発言などへの批判を徹底して強めましょう。
国民投票法改定の内容は、この間の公職選挙法改訂を反映させる「共通投票所」設置などの7項目です。しかし、憲法96条に根拠をおく改憲手続きのための「投票法」には、何よりも主権者の自由な意思の反映を担保することが求められています。その点で、現行の国民投票法は、最低投票率の規定をおかないまま「有効投票数の過半数」となっていることや、主権者の選択に大きな影響を与えるCM規制の不十分さ、公務員・教育労働者の国民投票に向けた活動が著しく制限されていることなど、「改憲手続き法」としての不十分さは法制定時から指摘され続けてきました。
しかし、今回の改定では、それらの根本的な問題点には一切手が付けられていません。6月2日におこなわれた参議院憲法審査会の参考人質疑でも、それら点の「違憲性」が厳しく指摘されました。
今回の改定では、CMやインターネットの規制などについて「施行後3年を目途に必要な法制上の措置その他の措置を講ずる」とする付則がつけられています。この点も足場に、「違憲状態の国民投票法での改憲発議は許されない」との世論を大きくしていくことも求められています。
コロナウィルス感染が収束しない中、市民の不安につけ込む惨事便乗で改憲発議への誘導は、コロナ感染を抑え込めない政府の失政をおおい隠すもので、論議のすり替えにほかなりません。
様々な世論調査でも、コロナ対策の充実は市民が政府に求める課題の上位にある一方で、改憲を求めているのは極めて僅かでしかありません。責任逃れや論議のすり替えを許さず、「改憲よりコロナ対策」の世論をさらに大きくし、改憲勢力を世論の力で追いこむために、力を尽くし合いましょう。
2021年6月15日
戦争する国づくりストップ!憲法を守り・いかす共同センター