市民の声と行動で実現した検察庁法改定案の先送りを歓迎する(声明)

市民の声と行動で実現した検察庁法改定案の先送りを歓迎する(声明)

 

戦争する国づくりストップ!憲法を守り・いかす共同センター
2020年5月19日

 

 昨5月18日に政府・与党は、検察官の定年延長への内閣関与を合法化する検察庁法改定法案について、通常国会での採決を断念した。市民と野党の共闘の成果として、歓迎する。

 

 この改定案を含む国家公務員法等改定法案が国会に提出され、審議が開始された4月中旬以降、法曹関係者や「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」(市民アクション)などの取り組みもあって、多くの市民が、定年年齢を65歳に引き上げるだけにとどまらない検察庁法改定案の重大な問題点に関心をよせ始めていた。
 とりわけ、連休明けの5月8日に、法案を審議する内閣委員会が職権で開催され、与党と維新のみの審議が行われた直後から、「#検察庁法改正案に抗議します」とのタグをつけたツイートが始まり、拡散し、一夜で200万件を超える「ツイートデモ」となった。この「ツイートデモ」は週をまたいでさらに広がり、1000万件をこえる国民的大行動となった。
 また、市民アクションが4月17日に呼びかけた「東京高検・検事長黒川弘務氏の違法な定年延長に抗議し、辞職を求めます」のネット署名は、5月19日時点で35万人をこえて賛同が寄せられている。
 また、5月11日には、日本弁護士連合会が「検察庁法の一部改正に反対する会長声明」を再発出し、各地の弁護士会も同趣旨の反対声明を相次いで出した。

 

 このような声と行動にも後押しされ、5月15日には元検事総長ら14名の元検事が、18日には元特捜検事有志38名が、検察庁改定案の拙速な審議、採決に反対する意見書を法務大臣に提出するという前代未聞の動きとなった。
 国会内では、5月13日に野党が一致して検察庁法改定案の修正法案を提出し、検察官人事への内閣関与を制限するために、定年延長の特例部分の削除を求めた。
 人事権をつかった内閣の検察支配に危機感を抱き、準司法機関まで私物化しようとする安倍政権の暴走阻止の一点での共闘が、国会の内外で大きなうねりとなって広がった。そして、5月18日に公表されたマスコミの世論調査では、6割~7割が検察庁法改定案への反対を表明する状況となった。
 今国会での法案の採決を政府・与党に断念させた力は、以上のような市民と野党の共闘であり、民主主義の底力を示した。コロナウィルス感染の拡大が収まらないもとで、市民の表現の自由も制約され、政府の暴走に対する抗議の意思を形にしづらくなっている。その条件のもとで、SNSも活用した今回の取り組みは貴重な教訓ともなった。

 

 安倍首相などは、検察庁法改定案を分離せず、秋に予定される臨時国会で国家公務員法改正などと一括して処理する姿勢を変えておらず、検察の独立性を侵し、内閣が刑事司法まで統括する権力集中への執念はいささかも消えてはいない。また、今夏の検事総長交代期の黒川氏の昇任発令についても諦めている訳ではない。
 検察庁幹部の定年延長の特例と黒川氏の定年延長の撤回を求める取り組みは終ったわけではない。市民と力をあわせて作りだした今回の到達点を足がかりに、さらに安倍政権を追いつめる取り組みの継続、強化を強くよびかける。

以上

 

市民の声と行動で実現した検察庁法改定案の先送りを歓迎する(声明)