(声明)菅政権発足にあたって -「安倍亜流政治」を早期に終わらせよう-

(声明)

 

菅政権発足にあたって
-「安倍亜流政治」を早期に終わらせよう-

 

 9月16日の臨時国会で、安倍政治を丸ごと引き継ぐとくり返す菅自民党総裁が内閣総理大臣に指名された。
 菅氏は、安倍政権の7年8か月を内閣官房長官として支え、集団的自衛権行使容認の閣議決定や戦争法・安保法制などの戦争する国づくりや、消費税増税と社会保障の連続改悪の社会保障の一体改革、雇用破壊の働き改革などに関与し、内閣人事局を通じた官僚支配を強めて行政情報の隠蔽、改ざん、破棄と忖度の強要で権威主義の人事政治を進めた共犯者である。モリトモ、桜を見る会疑惑や東京高検検事長の定年延長など、安倍政治のもとで進行した政治腐敗の面でも、菅氏が果たした負の役割は大きい。これらの点への反省もなく、安倍政治の継承を政権の基本路線とすることは許されることではない。

 

 安倍政権の目玉の政策とされたアベノミクスは、非正規雇用の増加などによって賃金、所得の低下と貧困化を加速させた。その一方で、異次元の金融緩和や日本銀行、年金基金資金による株の買い支えで大企業と富裕層の富の蓄積を急増させ、貧富の差を拡大した。「アベノミクスを見直すべきだ」とする回答が58.9%という共同通信の世論調査結果は、その現状への市民の批判が反映したものにほかならない。
 このような安倍政治の全面的な継承を言い募ることで自民党総裁選挙を勝ち抜いた菅氏に、コロナ危機で苦しむ市民、労働者の命とくらしを守る政治を期待することはできない。変わる政治の選択肢を国民に示すこともできない自公連立政権がいきづまっていることも明らかだ。

 

 菅新首相は、安倍政治の継承だけにとどまらず、さらなる悪政推進の立場を自民党総裁選挙の論戦で示したことも軽視できない。
 改憲について「憲法審査会での(自民党改憲4項目)の論議促進」を表明し、「政府として(改憲に)挑戦」と発言して憲法軽視の姿勢も露骨に示した。また、政治目標を「自助、共助、公助と絆」だとし、政治の役割を放棄する自己責任を市民に迫る姿勢を露骨に示した。また、沖縄・名護市辺野古での米軍基地建設についても「進めていく」と強硬姿勢を改めようともしていない。安倍首相の改憲姿勢を「引き継ぐ必要はない」が57.9%を占める国民世論(共同通信)を無視する主権者軽視の姿勢まで引き継ぐ新政権に、微塵も期待することは出来ない。

 

 コロナ危機の中で明らかになったのは、自己責任を市民に迫った政治が医療や介護、福祉、教育などの公的ケア・公共サービスを後退させ続け、社会の安定基盤や公衆衛生を脆弱なものとしていた結果、命の格差が生ずるという深刻な問題であった。
 武器による安全保障に偏重して大軍拡を進めてきた政治が財政を硬直化させ、命とくらしをまもるための予算執行を困難にしていた。
 イギリスのジョンソン首相が述べたように「社会は存在する」のであり、命とくらしを守るための政府の役割の再構築こそがいま求められている。

 

 私たちは、戦争する国づくり、命とくらし軽視の政治を続けた安倍政権の退陣を求め続けてきた。その安倍政権の政治を全面的に継承するだけでなく、悪政をさらに加速させようとしていることが明らかな菅政権の誕生を歓迎するわけにはいかない。政権トップの交代では、政治は1ミリも改善の方向に向かないことが明らかになった今、徹底した国会論戦で国民が願う政治転換の方向を議論し、「安倍亜流政治」にほかならない菅政権を早期に退陣に追い込むことが喫緊の課題である。市民と野党の共闘の前進で自公政治の転換と政権交代を実現するために、「改憲発議反対緊急署名」をはじめとした、これまでのたたかいを継続しさらに強めていくものである。

2020年9月16日
戦争する国づくりストップ!憲法を守り・いかす共同センター

 

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