一日もはやく「戦争法(安保関連法)」の廃止を
– 麻生副総理の憲法を逸脱する「台湾有事『日米で防衛』発言」に抗議する –
7月5日の講演で麻生副総理兼財務大臣は、中国が台湾に侵攻した場合に日本政府は「安全保障関連法の『存立危機事態』と認定して集団的自衛権を行使する」と発言した。
日本が攻撃されていなくても、米国などと一体となって他国と戦争する集団的自衛権が容易に行使される危険性を強く示唆し、自衛隊が国外で戦争する現実的な可能性を改めて明らかにした。「戦争法(安保関連法)」が、明白に憲法違反であることを再確認させる発言でもある。
「戦争法」の一日も早い廃止を強く主張する。そのためにも、きたる総選挙に向けて同法をはじめとする違憲の法律の廃止も共通政策にした政権の実現にむけた野党間の協議をおこない、合意の速やかな形成を強く求める。
台湾有事をめぐっては、本年4月16日の日米首脳会談の共同声明に「台湾海峡の平和と安定」が明記され、「戦争法(安保関連法)」が施行されたもとでの日米の軍事同盟強化の課題に位置付けられた。
麻生発言はさらにふみこみ、台湾有事は「密接な関係にある他国への武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされるなどの事態」である「存立危機事態」だと位置づけて集団的自衛権行使の対象とした点で、看過できない問題発言である。
台湾をめぐっては、5月に菅首相が国会討論で「オーストラリア、ニュージーランド、台湾の3国」と発言し、6月末には中山防衛副大臣が講演で台湾を「民主国家」と発言して、中国の激しい反発を招いた。
日本は、1972年の日中共同声明で「台湾が中華人民共和国領土の不可分の一部」であることに合意しており、中国と台湾の問題は「基本的には中国の国内問題」だとする統一見解も示している。このことからしても、台湾有事を集団的自衛権行使の対象としたこと自体が、戦後の東北アジアの政治的安定を損なうものであり、自らが好んで事をおこす姿勢だと非難されても致し方のないものである。
これらの経緯を承知の上で、「台湾有事」への日米安保条約の適用や、集団的自衛権行使の対象とすることは、極めて危険で前のめりのものであり、憲法からも大きく逸脱している。
菅政権発足以降も、敵基地攻撃が可能な武器保有のための軍事費予算の強行や、土地利用規制法案、デジタル庁関連法案など政府裁量で基本的人権を抑圧する悪法を相次いで強行するなど、「壊憲」の動きが急加速している。台湾有事への日本の関与を既定のものにすることは、その動きとも同根である。
この点を改めて注視し、戦争する国に一直線に進む菅自公政権を次の総選挙で打倒して、憲法がいきる平和な日本への転換を実現することは、いのち、くらし、平和を守るためにも喫緊の課題である。
憲法に沿った政治を実現するための行動、全国各地での奮闘を心からよびかける。
2021年7月9日
戦争する国づくりストップ!憲法を守り・いかす共同センター